第85章 見つけた

富山室長は襟元を正しながら休憩室から出てきた。その顔には、隠しきれない興奮が浮かんでいる。

彼は無意識に手首を持ち上げ、時間を確認した。

その一瞬、廊下の照明が彼の腕を照らし出し、西園寺琴音の視界にあるものが飛び込んできた。

腕時計だ。

琴音の瞳孔が、ごくりと収縮する。

あの時計は……。

海外の超一流ブランドが出した、限定モデルだ!

陸奥司も同ブランドの別シリーズを持っていたため、その価値が桁外れなのは知っている。

あんなもの、もはや単なる高級品の域を超えている。成功者のステータスシンボルだ。

富山室長の実家はそこそこ裕福だと聞くが、七桁は下らない代物をポンと買えるほどでは...

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