第94章 西園寺さん、先に行ってください

西園寺琴音の心は、冷たい底へと沈んでいった。

奴ら……まさか実力行使に出るなんて!

心臓が早鐘を打ち、肋骨を突き破らんばかりに暴れている。

奴らは何者だ? 富山室長の手先なのか?

一体どこへ連れて行かれる? 何をされるつもりなの?

恐怖で押し潰されそうになりながらも、琴音は必死に意識を保とうとした。

慌てちゃ駄目!

こういう時こそ、冷静にならなきゃ。

彼女は車内で身を潜め、タイヤから伝わる振動を感じながら、行き先を必死に推測しようとした。

どれほどの時間が経過しただろうか。虚脱感に襲われかけたその時、車がゆっくりと停車した。

心臓が再び激しく跳ねる。

ドアが乱暴に開けら...

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