第2章
警備員たちの手をどうにか振りほどき、車から降りてきた両親のほうへよろめきながら駆け寄った。
私は二人の手をつかむ。
「お母さん! お父さん! お願い、助けて!」
涙でぐしゃぐしゃの顔を見て、二人は明らかに動揺した。
困惑したまま眉をひそめ、私を上から下までまじまじと見つめる。
「エヴリン、いったいどういうこと?」母が問う。「電話では、私たちにすごくいい知らせがあるって……」
私は事前に、来てくれるよう頼んでおいた。
以前、ヴィンチェンツォとカルメラに無理やり二度も苦しい中絶をさせられたことがあったからだ。だからこそ、保険が欲しかった。
また何かあったとき、今度こそ自分の両親が守ってくれると信じていた。
支えが一気に押し寄せた気がして、私は嗚咽した。
「お母さん、お父さん……あの人たち、私を傷つけようとしてる。私の赤ちゃんを殺すつもりなの」
それを聞いた瞬間、両親の目に本物の怒りが燃え上がった。
「ヴィンチェンツォ! カルメラ!」
母は、恐ろしい義理の両親に向かってほとんど怒鳴りつけるように言った。「エヴリンはあなたたちの家に嫁いだのよ!生贄にするために差し出したんじゃない!」
「今すぐ説明しろ!
じゃないと、こっちは絶対に黙ってない!」父も荒々しく前に出て声を重ねた。
ヴィンチェンツォは深くため息をついた。怒鳴り返すどころか、冷えきった仕草で皆にリビングルームへ移動するよう促した。
席に着くと、ヴィンチェンツォが言う。
「エヴリンは妊娠している。だが、その子どもたちはどうしても産ませられない」
背筋にぞっとする冷気が走った。
私は口を開き、両親に「ここから遠くへ連れていって」と懇願しようとした。その瞬間、沈黙を切り裂くおぞましい声が響いた。
「終わらせろ! 終わらせろ!」黒い羽の九官鳥、ダンテが執拗に金切り声を上げる。
あの忌々しい鳥が口を開いた瞬間、すべてが変わった。
両親の顔色がみるみる真っ青になる。二人は義理の両親と、怯えきった視線を一度だけ交わした。
そして私へ向き直ったとき、さっきまでの庇うような怒りはきれいさっぱり消え失せ、そこにあったのは生き延びるための本能だけだった。
「エヴリン」母が、硬く震える声で言った。「中絶しなさい」
私は固まった。あまりに急な変わりように、身体がまるで言うことをきかない。
「お母さん? 何を言ってるの? 検査結果を見て!」私は叫び、超音波検査の紙を母の手に押しつけようとした。
「元気な双子なの! あなたたちの孫よ!」
「そんな紙くずどうでもいい!」父が突進し、私の手を乱暴にはたき落とした。
「孫だと?! 鳥が言ったのに、そんなことが意味を持つと思うのか?!」父は歯の隙間から吐き捨てるように言い、目には恐慌が浮かんでいた。「俺たち全員殺されたいのか?!」
父の裏切りを理解する暇もないうちに、カルメラが近づいてきて私の手をつかんだ。
吐き気のするほど優しい――しかし逃げ場のない調子で言う。
「エヴリン、いい子だから、両親の言うことを聞きなさい」カルメラはなだめるように言い、痛いほど強く指を握りしめた。
「この鳥は、この家の運命と深く結びついているの。鳥が『赤ちゃんは残せない』と言うなら、
その子たちは私たち皆に災いをもたらすってことよ。あなたのためを思って言ってるの!」
「その通りだ!」ヴィンチェンツォも同調し、私の目の前をせわしなく行き来する。
「お前はまだ若い。あとでマルコに別の子どもを産んでやればいいだろう。なぜこの子たちにそこまで固執する? 身勝手で頑固すぎるぞ」
狂った理屈で一斉に責め立てられ、私は完全に理性を失った。
「嫌よ、絶対にしない!」私は叫び、二人の赤ちゃんを守ると決めた。
私は勢いよく首を巡らせ、鳥かごをにらみつけた。
「ただの鳥じゃない! どうして動物の叫び声なんかを信じて、自分の孫の命を捨てるの?!」
「終わらせろ! 終わらせろ!」ダンテはまた鳴き散らし、嬉しそうに羽ばたいた。
「うるさい! 死ねばいい!」
怒りで目がくらみ、私は鳥かごへ一直線に突進した。あの忌々しい鳥の首をねじ切って、へし折ってやりたかった。
「何をしている!」ヴィンチェンツォが怒鳴る。
羽をつかむより早く、私は乱暴に後ろへ引きずられた。
父が私の腰を抱え込み、ヴィンチェンツォが腕を押さえつける。
そして、母が私を叩いた。
母の目は血走り、鳥へ、そして私へと落ち着きなく視線を走らせる。
「抵抗するんじゃない!」母は半狂乱で唾を飛ばした。「鳥が終わらせろって言ってるのよ。だから、今日中に消えてもらわなきゃ!」
助けに来る人など誰もいない。私はひとりで戦っていた。
開いたままの中庭の門が目に入った瞬間、私は必死に父の腕に噛みついた。
父が悲鳴を上げて手を離す。私は抜け出し、命がけで駆け出した。
だが、玄関へ飛び込もうとしたそのとき、外には扉を大きく開けた医療用バンが待ち構えていた。
全身が凍りつくような恐怖が襲う。私は床に身を投げ、重たい大理石の柱に腕と脚をきつく絡めた。
「行かない!」胸が上下するほど泣きながら叫ぶ。「乗らない! 放して!」
ヴィンチェンツォが両親をにらみつけた。「ハート。娘がオマエの子なら、オマエが始末しろ。
おとなしくバンに乗らないなら、ここでその赤ん坊たちの命を終わらせるだけだ」
父は恐怖で震えていた。
私が妊娠していることなど、父には関係なかった。父は私の指を一本ずつ、力ずくで柱から引きはがしていく。
「いい加減にしろ、現実を受け入れろ!」父が怒鳴り散らした。
「お父さん! やめて! 助けて!」私は嗚咽した。
私が素直にバンへ歩いていかないと悟ると、カルメラが小さな白い中絶用の錠剤を取り出した。最後の切り札だ。
カルメラはそれを母へ直接渡し、目で圧をかける。「飲ませなさい。あなたの家が、私たちを重んじていると証明して見せて」
母の手は激しく震えていた。
デルーカ・ファミリーへの恐怖が、母に残っていた最後の良心さえ押しつぶす。
母は薬を握りしめ、こちらへ歩いてきた。
「お母さん……だめ……お願い……」私は弱々しく懇願し、首を振った。父が私の肩を床に押しつけている。
「ごめんね、エヴリン。生きるためには、こうするしかないの!」母はヒステリックに泣き叫んだ。
母はそれ以上言わず、乱暴に私の鼻をつまむ。
息を求めて口を開けた瞬間、母は指を唇の奥へねじ込み、苦い薬を喉の奥深くまで無理やり押し込んだ。
母は私の口を手でふさぎ、唾液も水もないまま飲み込ませた。
私は激しくむせ、唾と血を吐きながら、上から覗き込む四つの顔を見上げた。
押し潰されるような絶望が押し寄せる。
私と赤ちゃんは、デルーカ・ファミリーにとってただの道具で、臆病な両親にとっては切り捨てられる巻き添えでしかない。
鋭く、取り返しのつかない痙攣が下腹部を引き裂きはじめたとき、私は最後に残った意志の欠片をかき集めた。
「マルコ……!」私は悲鳴を上げた。「マルコに会わせて! 夫と話をさせて!」
私は必死にポケットへ手を突っ込み、携帯電話を探った。
だがカルメラが滑らかにそれを奪い取り、私を見下ろす。
「マルコは忙しいの」カルメラは冷たく言い、電源ボタンを押して画面を真っ黒にした。
「こんなことに構っている暇はないわ」
