第128章予期せぬ手がかり

エミリーが部屋に入ると、ジェームズがベッドに腰かけ、古びて傷だらけの首輪を両手に抱えるようにしているのが見えた。

それは子犬のフェイランから外されたもので、金属製のタグには「フェイラン」の名が刻まれたまま、ぶら下がっていた。

ジェームズはまぶたを落とし、指先でその金属タグについた擦り傷をそっと撫でながら、思考の底へ沈んでいた。

いや、ジェームズだけではない。これまで数々の出来事を見てきたエミリーでさえ、今夜の遭遇は少し――いや、かなり荷が重すぎると感じていた。

始まりは、ごくありふれた夜だった。いつも通り中庭を散歩していただけ。

それなのに、何年も行方不明だった子犬のフェイランが姿を...

ログインして続きを読む