第154話クレイジー・ウーマン

「我らが大聖人ロンがお帰りだ」

こちらへ歩いてくるロンを見つけ、オルトンがからかうように口笛を吹いた。

トビアスは微笑みながらロンを見て、「惚れたのか?」と尋ねた。

ロンの目がわずかに翳る。面白がって成り行きを見守ろうとしている友人二人に視線を向けると、いつも冷淡で無関心な瞳の奥に、一瞬どうしようもなさがよぎった。

「エミリーの友だちだ。助けるのが筋だろう」

「それだけか?」

オルトンは明らかに信じていない。「お前、ふだん氷みたいに冷たいだろ。女はおろか、俺ら相手だって滅多に笑ったところ見たことない。なのに今はどうした? まさか本当に惚れたのか?」

「確か、あの子の名前はハーマイ...

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