第175話他人を騙そうとするが結局自分をだましてしまう

個室は、しんとした静寂に沈んだ。

誰もがそれぞれ別の思いを胸に視線を交わし、言葉にしないまま合意したかのように、隅に座って陰った表情を浮かべるジェームズへと一斉に目を向けた。

ニコレットもまたジェームズを見据えていた。冷えた眼差しには、揺るぎない決意が宿っている。

「まさかニコレットの狙いが、本当に……」

「トーマス家は確かにすごいけどさ、ジェームズはもう終わってる。わざわざ面倒を見る役を買うなんて、よほどの馬鹿だろ」

「馬鹿はあんたでしょ? トーマス家は桁違いの財産があるんだよ。ニコレットが嫁に入って、もしジェームズに何かあったら、その莫大な金が丸ごと彼女の懐に転がり込むんじゃない...

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