第210章冷戦

高級個室の病室。

ジェームズはベッドに腰掛け、冷えきった無表情のまま、ただ深い眼差しだけが静かにドアの方へ向けられていた。

マークがあの電話をかけに出て行ってから、もう一時間になる。エミリーをうまく言いくるめて来させることはできたのだろうか。

エミリーは、本当に自分のことなどどうでもいいのか。

名目上とはいえ夫婦なのだ。どう考えたって、病院くらい見舞いに来るべきだろう。

ジェームズは苛立たしげに眉をひそめた。

「トーマス様……」

そのとき、部屋の中に別の声が響いた。

ジェームズは動きを止め、ようやくもう一人いることを思い出した。

「まだいたのか」

「トーマス様、ずっとここに...

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