第260話怒れるライオン

エミリーはハーマイオニーを人混みから引き離し、白鳥湖から遠く離れた、木々の密に生い茂る林の奥で足を止めた。

「ハーマイオニー、何を考えてるの?」

周囲に人影はない。ただ、風が葉を擦る音だけがさらさらと響いていた。

エミリーは回りくどいことはせず、まっすぐに尋ねた。

ハーマイオニーはすぐには反応せず、ぼんやりとした目でエミリーを見つめ返している。

その無垢な表情を見て、エミリーは少し途方に暮れた。

「昨日、全部見たの。夕暮れの白鳥湖で、あなたと……」

言い終える前に、ハーマイオニーの顔が一気に真っ赤に染まり、どこか愛らしく見えた。

「わ、私……見られてたの」

ハーマイオニーは気...

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