第28章あなたは娘を金と交換していますか?

バリーは手早く動き、車内の整えを終えたちょうどそのとき、ニコラスからの着信が入った。

「やあ、エミリー。フロスティ・ピークで最高の場所を見つけたんだ。春は山一面が桃の花で覆われて、夏は青々とした木々に囲まれ、秋には楓が真っ赤に染まって、冬は頂が雪に包まれるってさ。すごくきれいらしい。君のお母さん、きっと気に入るよ」

フロスティ・ピーク。

「エミリー、フロスティ・ピークって知ってるか? 一年中きれいなんだ。体がよくなったら、君を連れていってやる」

ふいに過去の記憶が押し寄せ、エミリーは少しぼうっとした。

「エミリー?」返事がないことに、電話口のニコラスの声が訝しげになる。

「……そこ...

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