第308話エミリーを取り戻せ

ジェームズはこのところ、ひどく気分が沈んでいた。

エミリーとあの喧嘩をして以来、彼女は一度も病院に顔を出していない。

なんて面倒なんだ!

ジェームズは病室のベッド脇に腰を下ろし、スマートフォンを握ったまま、何度も何度も画面を見つめた。

「トーマスさん、退院の書類はすべて整いました」

「わかった」

返事はしたが、ジェームズは動かなかった。

マークは不思議そうにジェームズを一瞥し、それ以上は何も言わず、静かに部屋の荷物をまとめ始めた。

マークがほとんど片づけ終えた頃、ジェームズは腹を決めたように見え、ようやくスマートフォンで番号を押した。

「おい、今日退院する」

通話がつながる...

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