第311話泣き虫娘は大きくなった

「今夜なら、僕たち……」

ジェームズの唇がエミリーの口元の端に触れようとした、その瞬間だった。エミリーは冷ややかに笑い、細い指で腰に回された手首を探り当てると、容赦なくつねり上げた。

痛みに顔をしかめたジェームズは思わず力を緩める。エミリーはその隙を逃さず、するりと身をほどいた。

「ハーマイオニーのところに泊まる。しばらく、数日は帰らないから」

エミリーは軽く手を振り、振り返りもせずに歩き去った。

ジェームズはひりつく手首をさすりながら、ためらいひとつなく去っていく背中を見送り、苦笑して首を振った。

――ロン、お前のせいで俺は夜をひとりで過ごす羽目だ。どう落とし前をつけるつもりだよ...

ログインして続きを読む