第320話裏切り者はすぐそばにいる

エミリーがしばらくジャスパーに付き添っていると、ジェームズが戻ってきた。

ジェームズはひどく疲れ切った顔をしていた。顎には無精ひげまで生えている。いつも身だしなみにうるさく、清潔さに執着するほどの男にしては珍しいことだった。

エミリーはジェームズをまっすぐ見つめた。彼が顔を上げると視線がぶつかり、どちらも言葉を発しない。

長い沈黙ののち、ジェームズがようやく掠れた声で口を開いた。「……来てたんだな」

荒れた声の奥に沈んだ深い疲労が滲んでいて、エミリーの胸が少しだけ痛んだ。

エミリーは小さくうなずき、病院のベッドに横たわるジャスパーへ目を向けた。少年はいつの間にかまた目を閉じ、規則正し...

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