第75話ジャスパーが行方不明

ジェームズは、その平手打ちに呆然とした。

この家で、目の前でここまで大胆な真似をした者など、これまで一人もいなかった。

「エミリー、気でも狂ったのか? よくも俺を殴れるな!」

たとえ相手の姿が見えなくても、ジェームズには足音で誰だか分かった。

「ジェームズ、最低!」

エミリーの目は涙で真っ赤だった。彼女はジェームズの襟元をつかみ、叫んだ。

「メイソンに何かあったら、あなたのこと、一生許さない!」

「なに……」

ジェームズが問い終えるより早く、エミリーは嵐のように部屋を飛び出し、背後で扉を叩きつけた。

轟音が胸に反響し、チクリと痛む。ジェームズはベッドに腰を下ろしたまま、怒りで...

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