第85章頑固なジェームズ

ジェームズは目が見えない。それでも指先で蝶のブローチの精緻な文様をそっとなぞり、秒を追うごとに表情をいっそう陰らせていった。

エミリーはジェームズの顔色をうかがいながら、低い声で尋ねた。「何かわかったの?」

「これは……ザンテのブローチだ」

言葉の途中でいったん途切れた沈黙が、エミリーの注意を引いた。

「つまり、これがザンテのものだって言うの?」

エミリーは興味深げに、ジェームズの掌にある蝶のブローチを指さした。「じゃあ、あなたの部屋に入ってきたのはザンテだったってこと?」

「ああ」

ジェームズはしばらく黙り込み、貴重品でも扱うように蝶のブローチを握りしめた。

沈黙が落ちる。

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