第91話あなたは私の足元のアリ

ジェームズがラケット・レルムに足を踏み入れたとき、エミリーとアヴァのテニスの試合はすでに佳境に入っていた。

アヴァと一緒に来ていた女の子たちが真っ先に彼に気づき、ひそやかな息を呑んだ。

「ねえ、見て。トマスさんじゃない?」

「うそでしょ、本人? なんでここに? 麻痺してて目も見えないって聞いたけど、実物は初めて見た……やっぱり本当なんだ」

「かわいそう。トマスさんってすごく格好いいのに。麻痺も失明もなかったら、私、絶対お嫁に行きたい」

「夢見すぎ。でも、隠し子がいるって聞いたよ? その子の継母になりたいわけ?」

「……やっぱやめとく」

女の子たちはくすくすと笑い合った。

マーク...

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