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フェンリル・ダネシュティ視点

俺は釘付けになっていた。目の前で轟音を立てて燃え盛る炎、アントンの体を喰らい尽くさんと容赦ない飢えで渦を巻き、跳ね上がる炎を、ただ見つめていた。

炎はまるで生き物のようだった。その橙と金の触手が薪と肉を養分とし、アントンの魂を、それが宿っていた肉の殻から引き剥がしていく。

俺は想像した。煙とともに立ち昇り、見えざる気流に乗って死者の谷へと運ばれていくアントンの魂を――俺たちの手の届かぬ安息の地、彼がようやく眠れる場所へと。

葬送の薪はパチパチと音を立て、その厳かな賛美歌のような音が空気を満たし、あまりにもよく知り、あまりにも早く失われた魂の旅立ちを告げていた。

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