102

フェンリル・ダネシュティ視点

「アルファ、何も見つかりませんでした」

先行させていた捜索隊の狼の一人、アリンが言った。

「森の端で奴らの痕跡を見失いました。街へ向かったか、あるいは道を横切る川を渡ったか……確かなことは分かりません」

俺はうなだれながら、頷いた。

降りしきる雪で濡れた髪を手でかき上げ、ため息をつく。

「アリン、ご苦労。今日はここまでだ」俺は皆に聞こえるように声を張り上げた。「休息をとり、食事を済ませろ。陽が昇り次第、出発する」

サヴァンナが俺のもとから奪われ、彼女のいるべき場所であるダネシュティの地から引き剥がされて三日が経った。それ以来、俺は一瞬たりとも足を止めず、...

ログインして続きを読む