110

フェンリル・ダネシュティ視点

俺たちは何日も東へ旅を続け、体が疲労に屈するまで足を止めることはなかった。そうなると俺は狩りに出た。それはある意味、思考を整理し、荒ぶる心を落ち着かせる助けになった。

満月に向かい、その銀色の光が俺を照らすに任せた。目を閉じ、深く息を吸い込む。

腕はだらりと垂れ、両手は拳を固く握りしめていた。もう一度息を吸い、松の木の清々しい香りを肺に満たす。

「ずいぶん静かだな」アンドレイが背後で雪を踏みしめながら言った。彼は俺の隣で立ち止まる。「サヴァを感じるか?」

俺は目を開けて彼の方を向き、頷いた。

「彼女は怯えている。だが、心配もしているようだ」俺はそう打ち明け、手に...

ログインして続きを読む