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フェンリル・ダネシュティ視点

最初の一匹の匂いを捉えた。苔と石の臭いがする。所属する群れの明確な印だ。

木の陰で息を潜めて待ちながら、奴らが俺の領域にさらに深く侵入してくるのを見ていた。怒りが全身を駆け巡り、抑えきれないほど強力に湧き上がってきた。奴らは、俺の領域を侵すという無礼を働いたのだ。そして、その全ての原因はサヴァンナにある。

彼女についてはまだ判断を下していなかった。どうして我を失ってしまったのか、理解できなかった。こんなことは一度もなかった――三百三十八年の生涯で、ただの一度も。

最初の狼が視界に入った。深く息を吸い込み、その匂いを嗅ぎ分ける。アルファだ。

一瞬の動きで爪...

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