42

深呼吸すると、彼の匂いが、周りに生えているユーカリの木の香りと混じり合って鼻腔をくすぐった。

乾いた唇を舐める。彼は瞬きもせず、その動きを分析するように見つめていた。心臓が速鐘を打ち、背筋にぞくりと悪寒が走る。彼の厳しい視線に晒され、こんなにも近くにいられることが……私を興奮させた。

私は咳払いをした。

「私たち、意見が合ったのって初めてね、フェンリル」

彼の顔に、狼のような笑みが浮かんだ。

「俺の狼は、お前に……執着しているらしい」彼はそう告白しながら、手のひらを滑らせて私の首筋に触れた。「まるでお前がそいつの所有物であるかのように。だから安心しろ、ハンターも、その手下の男たちも、誰一人お前...

ログインして続きを読む