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だが、いつも一人で、二人ということはなかった。特にアントンとアンドレイが揃っているなんて。

「二人とも?」私はバターのついたナイフで、彼らを交互に指した。二人は頷いて同意する。

「ええと……今、自分が重要人物だって感じるべきなのか、それとも心配するべきなのか、分からないわ」

「心配する方だと思うがな」アントンが断言した。

アンドレイはテーブルに腕を乗せ、私を見つめながら親指で唇をなぞった。

「俺としては、両方だと思う」

「もっと具体的に教えてくれる?」私は眉をひそめて尋ねた。

「どの縄張りにも属さないアルファたちの匂いを、俺たちの土地の近くで嗅ぎつけたんだ」と彼は告白した。私はごくりと唾を飲み...

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