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フェンリル・ダネシュティ視点

自宅へと向かって雪を踏みしめ、足跡を刻みながら、俺は避妊用のピルを指の間で強く握りしめた。

サバンナが予期せぬ発情期に入ってしまったなんて、信じがたいことだった。互いの感情を抑えるため、俺たちはここ数週間、離れて過ごしていたというのに。

マリリンが言ったことすべてを考えないようにしていたが、どうしても自分自身との葛藤に囚われてしまう。

マリリンの言う通り、本当にカタリナを過去の存在として葬り去るべきなのか、そしてサバンナへのこの感情がカタリナへの裏切りになるのか、俺には判断がつかなかった。

離れて過ごす時間は嫌でたまらなかったが、それが必要なことだとは分かってい...

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