第127章

イーサン視点

肌を刺すように冷たい朝の空気の中、俺は主要訓練場を見下ろす高台に立っていた。眼下では、数十人のムーンシェイドの狼たちが、振り付けられたかのように統率の取れた陣形で動いている。肌寒いにもかかわらず、その体は汗でぬらぬらと光っていた。遠くではジェームズが長距離チームを指揮しているのが見える。銀の穂先を持つ槍や投げナイフを手に、彼らの動きは精密そのものだ。

「もっと速く!」リディアが、ブラッドクロウの得意とする包囲戦術を練習している一団に叫んだ。「敵はあんたたちが足の置き場を決めるまで待ってはくれない!」

彼女は敵に見立てて粗末な藁人形をいくつも作り、それぞれに赤いバンダナを巻い...

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