第153章

フレイヤ視点

寝室から出た私は、きちんと服を着ているにもかかわらず、情事の余韻である心地よい疼きをまだ感じていた。指が無意識に首筋の痕(あと)に触れると、温かい戦慄が体中を駆け巡る。この刻印は、今やイーサンと私を永遠に繋ぐものだ――肉体だけでなく、魂と魂で。

廊下へ足を踏み出すと、すぐに変化に気づいた。戦士たちの背筋は伸び、その瞳には新たな敬意が満ちている。一人の若い女性戦士が軽く頭を下げ、こう呟いた。

「おはようございます、ルナ様」

ルナ。その称号は馴染みがないようで、不思議としっくりきた。高鳴る心臓を抑えて平静を装いながら、私は頷いて答える。私の中の狼、エンバーが誇らしげに頭をもたげ...

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