第160章

カサック視点

俺の内の狼の反応は、今までにないものだった。狂おしく、必死で、焦がれるような――。

熱が胸に溢れ、四肢へと広がっていく。心臓の鼓動は苦しいほどに速まり、その一拍一拍が、檻を破ろうとするかのように肋骨を内側から激しく叩いた。

俺は玉座の肘掛けを握りしめた。支配権を取り戻そうと抗ううちに、指の関節が白く浮き上がる。この女の元へ行きたいという、狼の突然で不可解な渇望と戦ううちに、額に汗が滲んだ。

「下がれ」衛兵たちに向かって、どうにか唸るように命じる。声は荒く、張り詰めていた。

衛兵たちは困惑したように顔を見合わせたが、命令に従い、部屋から後ずさりに出て重い扉を閉めた。

女は...

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