第172章

ライラ視点

「それもある」と彼は認めた。「だが、あれがお前に何をしたか、俺がお前に何をしたかを見てしまったからでもある」彼はためらい、無理やり私の目を見つめた。「そして、お前を見るたびに、俺が守れたはずなのに守らなかった全てを思い出させられるからだ。お前に関わることだけは、二度とあのような命令には従わないと誓ったんだ」

私は黙って彼の手当てを終えた。心では彼の言葉を処理しようともがいているというのに、手は仕事を止めなかった。ロヴァクの告白が、意味をなさない雷鳴のように頭の中で響き渡る。ようやく口を開いた時、私は声が砕け散りそうになるのを必死に抑え、慎重に平静を装った。

「もう行かないと。...

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