エピローグ2 リディア&ノア(1)

リディア視点

新しい寝室の鏡の前に立ち、私は左手のシンプルな金の指輪を指先でなぞった。結婚式が終わってまだ数時間しか経っていないけれど、心のどこかで、これが現実に起きたことだとは信じられない自分がいた。人間の儀式は、私が慣れ親しんできたものとはあまりにも違っていたからだ。溢れんばかりの花々、証人たちの前で交わす誓いの言葉、そして指輪の交換。

狼の掟では、儀式を行うのは「ルナ」だけだ。一般の群れのメンバーは、単にお互いにマーキングを施して終わり。ファンファーレもなければ、祝宴もない。それなのにノアは、「愛される女性は皆、美しい結婚式を挙げる資格がある」と言って譲らなかった。私の中にいる狼のマヤは、最初こそこの儀式に戸惑っていたけれど、今では満足げに喉を鳴らし、ノアが私たちだけのために特別なものを作り上げてくれたことを喜んでいる。

アイビーが魔法で式場中に花を咲かせ、その甘い香りが辺りを満たしていた光景を思い出し、私は微笑んだ。フレイヤとイーサンが証人として立ち、その瞳には誇らしげな色が浮かんでいた。何より私を驚かせたのは、人間と狼の世界がいかに自然に溶け合っていたかということだ。ノアの同僚である医師たちが群れのメンバーと談笑し、まるで種族の壁など存在しないかのように酒を酌み交わし、語り合っていた。

ドアがカチャリと鳴る音が、私の思考を遮った。寝室の戸口にノアが立っている。正装のシャツのボタンはいくつか外され、蝶ネクタイは首元で緩くぶら下がっていた。彼の緊張が匂い立ってくるのがわかる。鼻孔をくすぐる、鋭く、どこかスパイシーな香り。

「みんな帰った?」私は彼の方を向いて尋ねた。

彼は頷き、わざとらしいほどゆっくりとした動作でドアを閉めた。「ジェームズが最後の客を見送ってくれたよ」彼は喉を鳴らして唾を飲み込んだ。「つまり……僕たち二人きりだ」

思わず唇が弧を描いてしまう。「ええ、フレッチャー先生。初夜に二人きりね」私は彼に歩み寄った。近づくにつれて、彼の心拍数が跳ね上がるのがわかる。それがたまらなく心地よかった。「初めてなんでしょ?」

彼の頬が真っ赤に染まる。「そんなにバレバレ?」

「手が震えてるわよ」私は指摘し、その手を自分の手で包み込んだ。

交際中、ノアはずっとこの瞬間を待ちたいと言い張っていた。「古風だと言ってくれていい」私の手がベルトの下に伸びすぎた最初のとき、彼は優しく私を止めながらそう言った。「でも、初めての体験は結婚式の夜にしたいんだ」

マヤは欲求不満で遠吠えを上げたものだ。肉体的な欲望に関して、狼という生き物は忍耐強いとは言えないから。それでも私は彼の願いを尊重した。満月の夜、彼の匂いに理性を失いそうになったときでさえも。仮のマーキングが彼の許容範囲の限界で、キスをするたびに彼が自制心を保とうと葛藤しているのを感じていた。

「待った甲斐があったわ」私はそう呟き、彼の拳にキスを落とした。「マヤが何度か体から飛び出しそうになったけどね」

ノアははにかむように微笑んだ。「特別なものにしたかったんだ。二人にとって、忘れられないものに」

マヤが内側でざわめき、主導権を握るよう私を急き立てる。アルファの雌と交わるとはどういうことか、この人間に教えてやれと。シャツのボタンを外し始めたとき、自分の瞳が一瞬金色に閃くのを感じた。

「ぼ、僕は本を読んだんだ」ノアはどもりながら、私の腰のあたりで手を迷わせていた。「医学書で……その、解剖学とか、そういう……」

私は笑い声を上げた。胸の奥から響くような深い笑い声だ。「これは診察じゃないのよ、ノア」私は彼の肩からシャツを滑り落とし、引き締まった胸を露わにした。人間にしては、素晴らしい体つきだ。深夜の病院勤務と早朝のランニングの賜物だろう。

「君を幸せにしたい」彼はそう囁き、指先で私のドレスのファスナーをもどかしげに探った。ズボン越しに、その勃起がすでに張り詰めているのが見て取れる。

「ここよ」私は唸るように言い、彼の手を掴んで強引に背中へ回し、ファスナーへと導いた。「こうするの。躊躇しないで。あなたのものを奪って」

ドレスが滑り落ち、足元に溜まる。ノアは目を見開いた。私の裸体を目の当たりにして、彼の自身がピクリと跳ねる。下着は着けていなかった。彼の震える手が伸びてきて、私の豊かな胸を包み込み、親指が尖った乳首を擦った。

「もっと強く」私は彼の感触に身を任せながら求めた。「私はか弱い人間の女じゃない。もうこんなに濡れてるのを感じて」私は彼のもう片方の手を導き、太腿の間へと滑り込ませ、濡れた入り口に指を押し当てさせた。「自分が私をどうさせてるか、わかる?」

指が中に入り込むと、ノアは呻き声を上げた。彼の医学的知識による女性の解剖学への理論的な理解が、未経験の手によって熱心に探求されていく。私は自分がどれほど火照り、準備ができているかを彼に感じさせながら、彼の瞳孔が原始的な欲望で開いていくのを見つめていた。

「ベッドへ」と私は命じ、彼を仰向けに倒した。服を着たままの彼にまたがり、その体を見下ろす。「これは邪魔ね」

私はズボンの前を乱暴に引き開け、彼の自身を解き放った。それは待ちわびたように跳ね上がり、熱く充血して脈打っている。人間にしては立派なそのサイズに、私の中にいるマヤが満足げに喉を鳴らした。

私はその剛直を握りしめ、彼が息を呑むほどの強さで締め上げる。「もうすぐ私の中に入れてあげる」欲望で掠れた声で私は約束した。「でもその前に、味見させて」

体を滑り降り、視線を合わせたまま彼を口に含んだ。舌で敏感な先端を弄り、昂ぶりの証である塩味を味わうと、彼の腰が勝手に跳ね上がる。マヤは今すぐマーキングしろ、彼を所有しろと急かすが、私はそれに抗った――まだ早い。

「リディア」彼は私の髪を握りしめて呻く。「そんなにされたら、もう……」

私は水音を立てて口を離し、再び彼の体の上へと這い上がった。「我慢しなくていいわ」彼の唇のすぐそばで囁く。「夜はまだ長いんだから」

ついに腰を沈めると、鋭く焼けるような痛みが走った。処女の肉体が彼を受け入れるために引き伸ばされていく。私は息を呑み、馴染みのない異物感に動きを止めた。

「リディア?」ノアが驚いて目を丸くする。「君、まさか……知らなかった」

「シーッ」私は彼の唇に指を押し当て、内側が満たされる感覚に慣れるのを待った。「狼の番(つがい)は生涯ただ一人。あなたを待っていたの」

私の苦痛に気づき、彼の瞳に心配の色が浮かぶ。「やめよう、無理だ――」

「やめるなんて許さない」私は低く唸った。痛みはすでに引き始めている――狼の治癒力のおかげだ。数秒のうちに、焼けるような痛みは甘美な充満感へと変わり、私の中が勝手に彼を締め付けた。

「あっ」その感覚に彼が声を漏らし、私の腰を掴む。

私は動き始めた。最初はゆっくりと、やがて痛みが完全に快楽へと変わると、自信を持って大胆に。引き伸ばされ、満たされる感覚は極上だった。リズムを刻むたび、内壁が彼を抱きしめる。私は激しく腰を振り、胸を揺らし、クリトリスを彼の恥骨に押し付けた。マヤは主導権を取り戻したこと、そして私たちがどれほど彼と相性がいいかを見せつけていることに誇りを感じていた。

「すごいよ……すごくいい」私が彼の体から快楽を貪る様子を見つめ、ノアは畏敬の念を込めて囁く。

「触って」彼の手を導き、二人の結合部へと誘う。「ここよ」

ノアの指が私のクリトリスを捉え、初心者のくせに驚くほど器用にそこを刺激した。中を満たす彼自身の感覚と、最も敏感な場所を弄る指の二重奏に、私は急速に絶頂へと近づいていく。

「そう、それ」私は喘ぎ、腰の動きを速めた。「そのまま続けて」

激しく体がぶつかり合う中、犬歯が伸び、内なる狼が表面へと浮上してくるのを感じた。マヤの本能が私の欲望と溶け合い、彼を永遠に私のものとして刻印したいという抗えない衝動が湧き上がる。私は身を屈め、胸を彼の胸板に押し付けながら、脈打つ首筋に唇を寄せた。

「あなたは私のもの」喉元でそう唸ると、独占欲に満ちた言葉に反応して、私の中にある彼の一部がピクリと震えた。

「ああ……」彼は喘ぎ、首を傾けて服従を示した。無防備に急所をさらけ出すその本能的な仕草が、私の中のアルファを満足させる。

絶頂は衝撃的だった。収縮する内壁が彼の自身を強く締め付け、搾り上げるのと同時に、快感が爆発する。エクスタシーの頂点で、私は彼の首と肩の付け根に深く牙を突き立てた。口の中に血の味が広がり、彼を永遠の伴侶として刻印する。

ノアは私の名を叫び、私の中で激しく脈打ちながら果てた。熱い種が子宮へと注ぎ込まれる。肉体的な快感に加え、新しく形成された絆を通じて彼の感情が雪崩れ込んできた――歓喜、衝撃、愛、そして降伏。それらすべてが混ざり合い、私の意識を揺さぶる。

傷口を舐めると、彼が感じているすべてが手に取るようにわかった。噛まれたことによる微かな痛み、未だ彼自身に残る快楽の余韻、そしてさらに奥深くにある、私と同じ深い帰属意識。

「今のは……なんだか……」ノアは荒い息で目を白黒させている。

「永遠のマーキングよ」傷の治りを早めるためにそこを舐めながら、私は説明した。「これで私はあなたのあらゆる感情を感じ取れる。あなたの喜びは私の喜び。あなたの痛みは私の痛み」

ノアは不思議そうにその傷跡に触れた。やがて、その表情がどこか拗ねたようなものに変わる。「ずるいよ、それ」彼は唇を尖らせて言った。

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