第3章

 恥辱が重い拳のように顔面を打ち据える。だが、快感は荒波のように次から次へと押し寄せ、息継ぎの暇さえ与えてくれない。

 修治の指が突き入れられる。恐ろしいほど深く、容赦のない扱いに、思考が真っ白に染め上げられる。まるで熱されたオーブンに放り込まれたバターみたいに、私はドロドロに溶かされていく。溺れる者が藁をも掴むように、彼の熱い肩にしがみつくしかなかった。

「ああっ……だめ……」

 悲鳴を上げ、泣き叫びながら、羞恥と快感という二重の責め苦の果てに――私は一度目の絶頂に達した。

 その瞬間、世界から音が消えた。そこにいるのは松崎修治だけ。私を離さない男。私のチームのキャプテン。私の……ああ、毒であり、解毒剤でもある人。

 高ぶりの余韻が微弱な電流となって指先まで駆け巡り、私はベッドに崩れ落ちた。頭の中は依然として空白で、フルマラソンを走り走り終えた直後のように息が荒い。背中に張り付く汗と、安宿特有のカビ臭い空気が混じり合い、窒息しそうな閉塞感を生んでいた。

 瞼を閉じて呼吸を整えようとした矢先、薄い壁の向こうからドォン、と大きな衝撃音が響く。続いて大輔たち新人の下品な哄笑が聞こえ、心臓が喉元までせり上がった。

「おい大輔! 負けだぞ! パンツ脱げ!」

 その声はナイフのように薄っぺらな壁を貫いてくる。私はまどろみから一気に引き戻され、氷水を浴びせられたような恐怖が全身を駆け巡った。

 もし、こちらの声が聞こえていたら……。彼らが畏怖するキャプテンが、マネージャーを床に組み敷いていることが知られたら……。

「シッ」

 修治は私の怯えを見透かしたようだった。動きを止めるどころか、嗜虐的な笑みを浮かべる。普段の冷徹な仮面の下に隠された、あまりに邪悪な表情。

 彼は私を布製の人形のように軽々と抱き上げると、広いベッドへと放り投げた。マットレスが悲鳴のような軋み声を上げる。

「お願い、静かに……」

 私は恐怖に震えながら口元を押さえた。涙が滲む。

「彼らに聞かれちゃう」

「なら、声を出すな」

 修治は低く言い放つと、信じられない行動に出た。私の足首を掴み、両足を自身の肩へと担ぎ上げる。そしてそのまま覆い被さり、股間へと顔を埋めたのだ。

「修治! だめ!」

 声にならない悲鳴を上げ、逃れようともがく。だが、彼は岩山のように微動だにしない。

 生温かく、ざらついた舌が、充血した核を直接舐め上げる。脊髄を貫く強烈な電気。私は自分の手の甲を死に物狂いで噛み締め、なんとか悲鳴を押し殺した。

 隣室の騒ぎは続いている。

「クソッ、ここ有料チャンネルもねえのかよ!」

 大輔が毒づいているのが聞こえる。

 その壁一枚隔てたこちら側では、北東北ウルブズの絶対的エースがベッドに跪き、極上のデザートでも味わうかのように私を貪っている。その舌使いは信じがたいほど巧みで、吸い付くたびにジュボ、チュプ、と卑猥な水音が響いた。静まり返った部屋の中で、その音だけがやけに鮮明だ。

 狂ってる。この禁断のシチュエーションが、私の感覚を何倍にも増幅させていた。突き飛ばすべきだと分かっているのに、私の手は勝手に彼の汗ばんだ髪を掴み、あろうことか自分の方へと引き寄せている。

「力むな、綾子」

 彼は一瞬顔を上げ、私の愛液で濡れた唇を歪めた。その瞳は欲望に濁り、狂気を帯びている。

「あいつらに聞かせてやればいい。君が誰のものか、分からせてやるんだ」

「やだ……お願い……」

 泣き言を漏らしながらも、身体は正直に弓なりになり、彼の舌技を求めてしまう。

 彼は再び顔を埋め、今度はさらに激しく舌を動かし始めた。バレるかもしれないという恐怖の中で、私を崩壊させようと追い込んでくる。

「んぐっ、ぁぁーーッ!」

 二度目の絶頂が襲った瞬間、私は手の甲の皮膚を食い破るほどの力で噛み締めた。激しい痙攣で視界が明滅し、魂まで吸い取られるような感覚に陥る。

 隣室がふと静まり返った。

「おい、なんか声しなかったか?」

 誰かが言った。

 修治は動きを止め、顔を上げた。壁を睨むその目は狼のように鋭く、口元には冷笑が浮かんでいた。彼は私の耳元に唇を寄せ、二人だけに聞こえる声で囁いた。

「もっと確実に口を塞ぐ方法が必要みたいだな、マネージャーさん」

 彼は上体を起こし、腰に巻かれていた今にも落ちそうなバスタオルを解き放つ。

 弾け飛ぶように露出した雄棒は、凶悪なほどのサイズと熱気を放ちながら、私の目の前で脈打っていた。

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