第11章

あの声。あの顔。

水原茜と浜原恵也だった。

森田浩介は眉をわずかにひそめたまま、足を止めた。まるで両脚に千斤の重りでも括りつけられたみたいに、ぴくりとも動かない。

昨夜、私立探偵が自信満々に寄こした報告が、まだ耳の奥にこびりついている。

あの男はただのチンピラだ。

身元も後ろ盾もない。

雇われの役者にすぎない――そう言っていた。

なら、これは何だ。

目の前の男は、どう見ても場末のごろつきには見えない。

ここはH市屈指の会員制ビジネスクラブだ。無関係の人間がふらりと入れる場所じゃない。

その辺のチンピラが、取引先のふりをしてこんな場所に現れるとでもいうのか。

後ろについて...

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