第118章

三日後、水原茜の手の者がL市に入った。

彼女が出した条件はただ一つ。相手に気取られないこと。そのうえで、可能な限り多くの手がかりを持ち帰れ――それだけだった。

その日、H市にはまた雪が降った。

ひらひらと舞う小粒の雪。塩の粒みたいに大きくはないのに、やけに鬱陶しい。気温も一気に落ち込んだ。

あの日以来、水原茜は会社で鈴野和夫と顔を合わせていない。

会議でも同じだ。鈴野和夫がいるなら彼女は意図的に避け、彼女がいるなら鈴野和夫が欠席する。

誰の目にも明らかだった。水原茜と鈴野和夫は、完全に折り合いが悪い。

株主たちは露骨に陣営を作り、部下の社員たちも風向きを読んで動く。

ノアの社...

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