第140章

水原茜は答えなかった。ただ、鈴野和夫をじっと見つめ続ける。

彼の顔に浮かぶ探るような視線は、作り物には見えない。どこか当事者ではなく、まるで他人事を聞いているような温度だった。

その瞬間、水原茜の胸に薄い陰が差す。――ふと、好奇心が疼いた。

鈴野和夫以外に、違法薬物を手に入れられて、なおかつ谷原を殺せる人間がいるとしたら……誰だ?

結局、水原茜は最後まで鈴野和夫の問いに答えないまま、黙って踵を返した。浜原恵也の手を引き、アダムを連れてL市を後にする。

頭の中に残った結論は、ひとつだけ。

鈴野和夫が犯人ではないのなら、犯人は別にいる。

――まだ、追える。追わなきゃいけない。

H...

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