第19章

「チャラにする、って?」

 水原茜は、その言葉をそのままなぞるように繰り返した。

「そうだ」

 森田浩介は煙草の灰を、指先で軽く落とす。

「母さんのほうは俺から話す。涼宮佳奈は、ただ小さい頃から見てきた妹みたいなもんだ。お前が気にする必要はない。これからも今まで通りでいい。俺とあいつはもう終わった話だし、お前ももう佳奈に嫉妬しなくていい」

 自分がひと言説明さえすれば、水原茜は以前みたいにまた自分のもとへ戻ってくる――森田浩介は本気でそう思っていた。

 水原茜は、テーブルの上の料理を指さした。

「森田浩介。私たち、3年付き合ったよね」

 声は静かだった。まるで、他人の昔話でも...

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