第26章

三年ぶりに会った父は、こめかみにいくつか白いものが混じっていた。革靴が無垢材の床を踏むたび、こつ、こつと乾いた音が響く。

水原茜は背筋を伸ばした。手のひらはじっとり汗ばんで、言葉は喉の奥でつかえたまま、何を口にすればいいのかわからない。

水原雄一は最後の二段を下りたところで足を止め、娘を見た。空気が数秒、しんと静まる。

「帰ってくることは、まだ覚えてたか」

水原雄一が口を開く。声は少しかすれていた。

その一言で、水原茜は鼻の奥がつんとした。目頭が熱くなり、涙がぱっとこぼれ落ちる。

「お父さん……ごめんなさい」

俯いたまま、素直に非を認めた。

水原雄一は歩み寄ると、そのまま後ろ...

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