第30章

大川成人が顔を上げ、引き留めるように口を開く。

「森田様。明朝は極めて重要な会議がございます。最終判断は森田様でなければできません。今はお発ちになれません」

「延期しろ。でなければ別の者に任せればいい」

森田浩介は椅子の背に掛けてあったスーツのジャケットを手に取り、そのまま出て行こうとした。

そのとき、社長室の扉が勢いよく開いた。

青木玉子がハイヒールを鳴らして入ってくる。顔色は真っ青というより、怒気で鉄のように冷え切っていた。

「行けるものなら行ってみなさい!」

青木玉子は森田浩介の鼻先を指さし、険しい顔で言い放つ。

「会社の株価は3日連続で下落。大株主たちも皆、様子見に回...

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