第31章

水原雄一が「自由」を餌にした途端、水原茜の負けん気に火がついた。

三年のあいだ、いわゆる恋を追いかけていただけじゃない。水原茜は外の世界の広さも知った。いまさら家に閉じ込められて、何もせず飼われるだけの生活なんて――むしろ息が詰まる。

「いいよ。引き受ける」

資料を指先で挟んだまま、水原茜は迷いなく父の条件を呑んだ。

返事が落ちた瞬間、水原雄一の目にふっと笑みが浮かぶ。

(やっぱり)

水原茜はそこでようやく、自分が挑発に乗せられたのだと悟り、むっとして唇を尖らせた。

「……お父さん、最初から私が頷くって計算してたでしょ!」

水原雄一は背もたれにゆったりと身を預け、軽く頷く。目...

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