第34章

酒の臭いがむっと立ちこめ、その鼻をつく匂いに、浜原恵也は思わず眉をひそめて半歩退いた。

「君にとっては、どこにでもいる平凡な女なんだろう」

浜原恵也の声は穏やかだった。だが、その奥に潜む冷たさは隠しようもない。

「でも、俺にとってはかけがえのない宝だ」

森田浩介はわずかにのけぞり、酔いで焦点の定まらない目に、一瞬だけ驚きの色を走らせた。

だが、すぐにまた笑う。

「俺が3年も弄んだ女に、そこまで待つ価値があるのか?」

「どうやら浜原様も、大した女は知らないらしいな」

露骨な悪意が真正面から叩きつけられる。浜原恵也は脇に下ろした手をわずかに握り込み、拳を作った。

「茜は、愛する...

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