第35章

水原茜は去った。迷いなく、すっぱりと。

木野通人が知恵を絞って間に入り、丸一日以上かけて取り持ったというのに――水原茜と森田浩介が顔を合わせていた時間は、二分にも満たなかった。

しかも当の張本人は、自分がどれほど致命的な和解交渉をぶち壊したのかすら自覚がない。呆然と椅子に座り込み、信じられないとでも言いたげな顔をしている。

「お前がこんな真似をするつもりだと先に言ってりゃ、俺だって間に入らなかった。わざわざ呼び出す手助けなんか、するわけねえだろうが!」

木野通人は怒気を隠しもせず、森田浩介に叩きつけた。

森田浩介はようやく我に返ったように木野通人を見る。瞳にはまだ衝撃が残っていた。...

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