第38章

企画部副部長の一件が前例になったせいで、その後に続く連中も、さすがに意地だけで突っ込んでくる気は失せた。会議は妙なほどすんなり、滞りなく終盤へ流れていく。

最初に会議室を出たのは水原茜だった。背後でひそひそと囁く声がする。だが、役員たちが自分をどう評するかなんて、茜は欠片ほども気にしない。

手が甘ければ、足場は揺らぐ。社員ひとりすら押さえられないようでは、これから先、誰が従うというのか。

「茜」

水原茜が社長室へ向かう途中、背後から不意に呼び止められた。

振り返ると、副社長の鈴野寧々が、にこやかにこちらを見ている。

「子どもの頃、あなたがご両親と帰国して、おばさまやおじさまに挨拶...

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