第46章

車に乗り込むと、浜原恵也は身を屈めて水原茜のシートベルトを丁寧に締めてやった。自分も座席に腰を落ち着けた、その瞬間――茜の、からかうようでいてどこか探るような視線とぶつかる。

浜原恵也は居心地悪そうに眉を動かす。

「……俺の顔、何かついてる?」

水原茜は首を横に振り、声を弾ませた。

「ううん。ただ、恵也さんって、こんなに口が立つ一面もあるんだって……ちょっと意外で」

浜原恵也はすぐ切り返す。

「じゃあ、お前の中の俺って、どんな人間だった?」

穏やかで、寡黙で、滅多に人と衝突しない。水原茜の認識では、浜原恵也はいつだって落ち着いた――隙のない大人だった。

「恵也さんが、あんなふ...

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