第61章

水原茜が沈黙を保ったままでいると、廊下の向こうからばたばたと慌ただしい足音が聞こえてきた。鈴野和夫と顔を上げてそちらを見る。視線の先にいたのは、鈴野寧々だった。

鈴野和夫は眉間にうっすら皺を寄せる。胸の底に、嫌な予感が立ち上った。

「二人とも入りなさい」

社長室の前でまた揉められてはたまらない。水原茜はそう判断して、まとめて中へ通した。

「……あんた、ここで何してるの?」

部屋に入るなり、鈴野寧々が鈴野和夫へ噛みつく。

鈴野和夫は横目で彼女を一瞥し、鼻で笑った。

「それを言うなら、先に聞きたいね。お前こそ鈴野様に何の用だ? 俺に口出しできる立場かよ」

「私は水原様に用がある。...

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