第63章

水原茜は森田浩介をうまく追い払い、念願のいちごのショートケーキにありつくと、浜原恵也の腕に手を添えて隅でひと息ついていた。

「こんな退屈なパーティーだってわかってたら、来るんじゃなかったわ」

しみじみとこぼした茜に、浜原恵也は頬をそっと包み込み、唇の端についたクリームを指先で優しく拭った。

「こういう場には、これから先もっと出ることになるぞ」

わざとからかうような口調だった。

ひとたび名利の世界に足を踏み入れた以上、真っ先に覚えなければならないのは愛想と駆け引きだ。社長の椅子に座る立場であっても、それだけは避けて通れない。

「でも、あなたがいてくれて助かった。じゃなきゃ、ほんとに...

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