第71章

水原茜の家のインターホンが鳴った。彼女はモニター付きの画面を覗き込む。

――外に立っていたのは、森田浩介だった。

水原茜はドアを開け、眉をひそめて彼を見上げる。

「……何しに来たの」

森田浩介のスーツには埃がべったり付いていて、見るからにみすぼらしい。けれど水原茜の顔を見た途端、彼は口元をゆるめて笑った。

どこか怯えるような、慎重すぎる態度で。

「別に……ただ、茜の顔が見たくて。会いたかった」

以前なら、彼がこんな格好で会いに来たと知っただけで胸が痛んだはずだ。

けれど今の水原茜は、表情ひとつ動かさない。哀れみを誘う姿など、視界に入っていないかのように。

「夜中に何やってん...

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