第73章

水原茜に逆らえる者など、誰ひとりいなかった。

口当たりは悪い。だが、それが現実だ。

金を握っている人間が、現場の衣食を支える。そんな相手にわざわざ喧嘩を売るほど、彼らは愚かじゃない。

涼宮佳奈の顔色が、青くなったり白くなったりと忙しく変わる。ひどくみっともない。

周囲を見回してみても、助け舟を出してくれる人間は一人もいない。

その事実が、じわりと絶望を染み込ませてきた。

水原茜はそんなことお構いなしに、キャストたちへ視線を流す。

そして最後に、ひとりの若い女の子で目を止めた。

二十代前半。若さがそのまま艶になっている年頃だ。

とりわけ、目がいい。きらりと光って、視線を動かす...

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