第77章

キャンプの場所は早坂家が選んだ。H市の郊外、緑の草原がどこまでも広がる一角だ。

水原茜は完全に丸投げして、段取りはすべて浜原恵也に任せていた。

装備一式も彼が揃えた。自宅に届いた荷物の中で、いちばん目を引くピンクのアウトドアジャケットを見つけた瞬間、水原茜は思わず口元を引きつらせる。

「……これ、なに?」

浜原恵也は至って真面目に言う。

「ジャケット」

「そうじゃなくて。なんでピンクなの。子どもっぽく見えるでしょ」

水原茜はもともと明るい色が好きだ。見ているだけで気分が上がると思っている。

けれど今回は他人と一緒に出かける。少しは「大人らしく」見せたほうがいい――そう判断した...

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