第78章

 一日一夜のキャンプは、鈴野寧々と水原茜にとって、久しぶりに心から笑える時間になった。

 帰り支度をするとき、鈴野寧々は護衛の一人を鈴野家の車へ追いやり、自分は浜原恵也の車に乗り込んだ。

「いま思い出してもさ、昨日の鈴野和夫の、苦虫を噛み潰したみたいな顔……笑える」

 寧々は腹を押さえて、からからと笑った。

「向こう、もう我慢できなくなった?」

 水原茜も笑いながら訊く。

「うん。いまごろ車の中で作戦会議してるよ。まずは丸め込んで、あんたが折れないなら――次は力ずく、ってね……たぶん、あいつも自分が「硬い相手」に当たったなんて思ってなかった」

 茜は運転席の浜原恵也をちらりと見...

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