第83章

浜原恵也は、水原茜が唇を重ねてきた瞬間、ほんの一拍だけ固まった。

けれどすぐに我に返る。水原茜が少し身を引き、キスを終わらせようとした、その刹那――彼は彼女を抱き寄せた。

唇の隙間をこじ開け、舌を絡め、蜻蛉が水面をつつくような軽い口づけを、息が詰まるほど深いものへ変えていく。

酒のせいで頭がふわふわしていた水原茜は、浜原恵也の導きに抗えない。彼の動きに合わせて、ゆっくり沈んでいく。優しさに包まれ、溶けていく。

――酔った夜に何があったか、脳は案外、都合よく忘れる。

けれど身体の痛みだけは、嘘をつかない。

翌朝。目を覚ました水原茜は、腕を上げるだけで筋が引きつるように痛んだ。喉は掠...

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