第84章

水原茜の目に狂いはなかった。村上兼人は、まさしく人材の中の人材だった。

ヘッドハンティング会社を挟んで何度も面談を重ねるうちに、水原茜は条件を上乗せし続けた。ついには、ノア傘下に不動産事業を担当する子会社を新設し、その経営を村上兼人に一任する――そんな約束まで提示した。

そして彼は、ようやく首を縦に振った。森田からノアへ。

この一手で、プロジェクトは半分以上、成功したも同然だった。

しかも村上兼人は、自分ひとりで移籍したわけではない。手元の古参の部下数名に加え、現場の第一線で動けるスタッフをずらりと引き連れ、まとめてノアへ移ってきたのだ。

水原茜の抱えていた「人」の問題は一気に解消...

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