第87章

森田浩介の顔に浮かぶ笑みが、さらに数分だけ大きくなった。

「もちろん、お前を俺のそばに置くために、できる限りの手を尽くしただけだよ。ほんのちょっと、努力しただけ」

水原茜はごくりと唾を飲み込む。目を閉じると、意識を失う直前の――あの激しい衝撃が、嫌というほど蘇った。

「浜原恵也に、何をしたの?」

「どうでもいいだろ。今のお前の世界には、俺しかいない」

森田浩介は甘く囁く。

「茜。いい子に俺のそばにいろ。最高のものを全部やる」

ひやりと冷たい手が伸び、茜の柔らかな頬に触れた。

胃の奥から一気に吐き気がせり上がり、水原茜は反射的に顔を背けて、その手を避ける。

「……変態!」

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