第89章

集中治療室で一週間、昏睡状態が続いた浜原恵也は――ようやく、ゆっくりと目を開けた。

医師がすぐに駆け寄り、瞳孔反射や四肢の反応を確かめ、いくつか質問を投げる。ひと通りの診察を終えると、白衣の男は頷いた。

「状態は安定しています。一般病棟へ移れますよ」

外で焦れたように待ち続けていた家族にも、医師は落ち着いた口調で説明した。

「かなり強い衝撃を受けています。目覚めたばかりなので、しばらくは意識がはっきりしない可能性がありますが……頭部CTでは記憶に関わる領域の欠損は見られません。基本的には、ご安心ください」

その言葉に、廊下に張り詰めていた空気がわずかに緩む。

水原雄一と広瀬仁美も...

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