第90章

夜――森田浩介は、恥も外聞もなく水原茜の休む部屋へ踏み込んできた。

茜はすでに目を閉じ、眠りに落ちかけていた。けれど物音を聞いた瞬間、腹筋に力を入れて上体を起こす。

全身、傷のある箇所がひりつくように痛む。それでも警戒の姿勢だけは崩さなかった。

「……何の用?」

鋭く問い詰めると、森田浩介は最初こそ慎重な動きだったのに、見つかった途端、開き直ったように堂々と歩み寄ってくる。大股でベッド脇まで来た。

「決まってるだろ。お前と寝るためだ。忘れたのか? 涼宮佳奈が戻ってくるまで、俺たち毎晩抱き合って寝てた」

忘れるはずがない。

三年間、毎日同じベッドで眠ったからこそ――茜は、森田浩介...

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